コロナ禍でオンライン授業が始まってもうずいぶん経ちました。ほぼすべての授業で対話型のアクティヴラーニングを取り入れている私にとって、オンラインでの授業設計は試行錯誤の連続でしたが、ようやく自分なりの最適解が見えてきたような気がします。

というわけで今回はそうしたいくつかのTIPSを紹介します。前提として、①zoomで、②ブレイクアウトルーム(以下、BR)でグループワークをする、ということを念頭に置いています。zoomのBR機能は極めて便利なわけですが、それでも効果的にグループワークをするには課題が多く残されているように思います。以下のTIPSはそうした課題を教員のちょっとした立ち回りで補完しようとするものです。


(1)グループワークが開始される前に課題を明確に指示する

まぁ当たり前と言えば当たり前なのですが、ワークが始まる前に、ワーク中に何をするかを指示します。パワポで画面共有するだけではなくて、チャットに書き込んで学生がいつでも見られるようにします。

わざわざこれを強調しているのは、対面であれば教員が即座に動きを指示できる場合でも、BR中はフレキシブルに対応できず、また学生が困っていたとしてもそもそも教員にはそれを認知できないからです。

ちなみに私は、①アイスブレイクの手法/②課題の具体的な手順/③制限時間を必ず明示しています。パワポで画面共有+当該文章をチャットにコピペ、が基本セットです。

(2)誰から話し始めるのかを指示する

アイスブレイクでチェックイン(自己紹介を含めたミニスピーチ)を行う場合、誰から話し始めるかも具体的に指示します。簡単なのは、zoomの表示名がアルファベット順に早いor遅い、というものです。

BRの構造的な問題の一つは、他のグループの学生の姿が見えず、自分が所属するグループの外側で何が起きているのかが見えなくなることです。そのため、お互いの顔を見合って誰からも話し始めず、沈黙が生じることが頻繁に起こります。話し始める人を明確にするのは、こうした沈黙を避けるのに有効です。

(3) ルームの番号を記憶しておくように指示する

zoomを使い慣れていない学生は、BRからメインセッションに戻る際、間違えてミーティングルームそのものから退出することがよく起こります。その場合、復帰してくるとBRに未割当の状態になるため、教員が再度割り当てないといけません。このとき、学生がもとのルーム番号を記憶していない場合、再度割り当てが不可能になります。

こうした事態を避けるために、BRを始める前に、自分が入るルームの番号を記憶しておくように、学生に口頭で指示します。体感では、150人の授業で毎回1~3人は再度割り当てが必要になるため、この作業は必須です。


ということで、以上です。これらはいずれも、「大学生なんだからそれくらい自主的にできないでどうする」とか、「失敗してもそれは本人の責任」といって、やる必要はないと思われるかもしれません。しかし私見ではそれは根性論に過ぎません。また、これらはほとんど授業中の負担にならない上に、授業中の潜在的なトラブルを事前に回避できるため、結果的には低コストで学習効果の向上を期待できると思います。

いずれも再現性が高いと思いますので、同業者の方はぜひご参考になさってください。また、さらなる改善案があればぜひご教示いただけたらと思います。